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ブックイベントに行ってみた!

ブックイベントに行ってみた!『全国 大人になっても行きたい わたしの絵本めぐり』(G.B.)刊行記念イベント 「絵本・絵本めぐりの楽しみ方」いしいあやさん(ニジノ絵本屋)×和氣正幸さん(本屋ライター)

ニジノ絵本屋代表いしいあやさん(左)と、本屋ライター・和氣正幸さん(左)、*後ろに写っているのはニジノ絵本屋店長のトートン

〈イベント概要〉
『全国 大人になっても行きたい わたしの絵本めぐり』(G.B.)刊行記念イベント 「絵本・絵本めぐりの楽しみ方」
日時 2020年3月7日(土)19:00~20:30
会場 Readin'Writin' BOOKSTORE
登壇者(五十音順、敬称略) いしいあや(ニジノ絵本屋代表)、和氣正幸(本屋ライター)
イベント詳細 http://bit.ly/38JV3Tb

こんにちは。本が好き!レビュアーのタカラ~ムこと佐野隆広です。

「ブックイベントに行ってみた!」第5回は、Readin'Writin' BOOKSTOREで開催された『全国 大人になっても行きたい わたしの絵本めぐり』(G.B.)刊行記念トークイベントです。ニジノ絵本屋代表のいしいあやさんと本屋ライターの和氣正幸さんによる「絵本・絵本めぐりの楽しみ方」と題した楽しいお話を伺ってきました。

全国119の絵本に触れられる空間を紹介した街歩きガイド

書籍:全国 大人になっても行きたいわたしの絵本めぐり
(ジー・ビー)

はじめに

いしいさんが代表を務める「ニジノ絵本屋」は、絵本を販売する本屋さんであり、絵本を出版する出版社でもあります。音楽ユニットとコラボして各地のイベントで読み聞かせパフォーマンスなども行っています。和氣さんは、本屋ライターとして多くの著書があり、『全国 大人になっても行きたい わたしの絵本めぐり』では、東京・関東の11店舗を取材・執筆を担当しました。

1.5坪のスペースからはじまったニジノ絵本屋

イシイ:ニジノ絵本屋は、2011年に1.5坪のスペースで開店しました。「ビルの空きスペースで何かやらないか」と声をかけられ、いろいろと考えた末にとなりが小児科クリニックということもあって絵本屋さんにしようと決めました。6年間、1.5坪のお店を運営し3年前に現在の店舗に移転しています。

扱っている絵本は、他には置いていないような本が多いのが特徴的で、作家さんや出版社からの直接取引や「子どもの文化普及協会」から仕入れをしているそうです。本屋経営の素人だったいしいさんは、神保町に行って「絵本の仕入れはどこでできますか?」と聞いたりして情報を集めたそうですが、小さな書店で取次(本の卸業者)との口座を開くのは、なかなかハードルが高かったそうです。その後、自費出版で絵本を作っている作家さんや出版社とつながり、「子どもの文化普及協会」と取り引きができるようになって絵本が充実していきます。扱っている本は、作り手(著者、編集者、ブックデザイナー、出版社など)の顔が見えているもの。一見つながりのなさそうな本でも、同じデザイナーの手がけた本として並べたりもしているそうです。

絵本販売から出版レーベル、音楽とコラボしたパフォーマンスも!

また、絵本の販売だけでは厳しいと考えて出版にも踏み出します。ニジノ絵本屋レーベル第1作『フルーツポンチ』は、絵本ユニット「はらぺこめがね」と一緒に制作した作品です。その後も続々と刊行していて、昨年は初の翻訳絵本『ぼくは 生まれたとき』も刊行しています。

 

 

ニジノ絵本屋レーベルの絵本。絵本ユニットと制作した『フルーツポンチ』『すきやき』。2019年には初めて翻訳絵本『ぼくは 生まれたとき』を出版


ニジノ絵本屋のイベントは、音楽と融合したパフォーマンスが特徴的です。もともとは普通に絵本の読み聞かせをしていましたが、お客さんから参加費をもらうのが難しく、お金をもらえるイベントにしていこう考えて現在の形になっていきました。昨年はジャグバンド「TheWorthless(ワースレス)」をはじめとする、仲間のアーティストと共に、サマーソニックにも出演したそうです。ただし、あくまで本屋活動の一環で絵本を紹介する場として考えていますとのことです。

 

おふたりがおすすめする絵本屋さん

ニジノ絵本屋の歩みについてひととおり話を聞いたところで、『全国 大人になっても行きたい わたしの絵本めぐり』から、おふたりのオススメポイントを紹介していきます。 

いしいさんは気になるお店がたくさんあるそうで、手にした本には付せんがたくさん貼られていました。

いしいさんのおすすめ「剣淵町絵本の館」(北海道上川郡剣淵町)

ある絵本作家さんから「北海道の絵本の賞を受賞するとたくさん農産物が送られてくる」という話を聞いていて、剣淵町が創設している「けんぶち絵本の里大賞」のことかなと思っていたといういしいさん。検索した会場のお客さんから、賞の副賞が地元の農産物と教えてもらい、疑問が解消したと喜んでいました。

和氣さんのおすすめ

①「北鎌倉 葉祥明美術館」(神奈川県鎌倉市)

「北鎌倉 葉祥明美術館」は作家・葉祥明さんの私設美術館です。とても居心地がよく一日中いられる場所。長谷寺も近いので散歩コースとしてもおすすめです。

②「うみべのえほんや ツバメ号」(神奈川県横須賀市)

「うみべのえほんや ツバメ号」は、「海辺まで徒歩5分という場所にこの絵本屋があるというだけで、ご飯何杯でもいける」。近くにある窯焼きのパン屋さんもありますよ。

③「メッゲンドルファー」(神奈川県鎌倉市)

「メッゲンドルファー」は、しかけ絵本の専門店で、さまざまな種類のしかけ絵本がそろっています。店主が、元しかけ絵本の出版社勤務ということで、しかけ絵本のことをいろいろ話してみると面白い話が聞けるかも。

和氣さんは、この本を通じて、絵本屋さんの中にはメディアでも取り上げられていないような小さくて素敵なお店が全国にたくさんあることを知ることができたと話していました。

質問コーナー

ここで会場からの質問におふたりが答えていきます。

質問1:ニジノ絵本屋にはどのようなお客さんが多いのですか。

いしい:ファミリーもいるし自分のための絵本を探しに来る方などさまざまですね。出版もやっているので、イラストレーターや絵本作家も来てくれたりします。

質問2:絵本を紹介しても値段が高いという話をされてしまいます。ペーパーバックのような絵本はできないでしょうか。

いしい:最初に絵本を作ったときは、上製本やハードカバーにこだわりましたが、最近はもっと手に取ってもらいやすい絵本がいいなと考えるようになりました。ニジノ絵本屋では、いまペーパーバック絵本の出版を視野に入れて計画しています。

質問3:ニジノ絵本屋はオンラインショップもやっていますが、絵本はサイズもバラバラなので梱包がたいへんなのではないですか。

いしい:梱包には「やっこ」という形のダンボールを利用して、絵本のサイズに応じて対応しています。オンラインショップについては、ニジノ絵本屋らしさをどう出していくかが課題です。なにかプラスの付加価値がつけられないか考え中です。

 

終わりに

絵本の活動をはじめて友だちが増えたといういしいさん。ニジノ絵本屋の活動がたくさんの人との出会いを生んでいるようです。 最後に、いしいさんの著書『ニジノ絵本屋さんの本』と、ニジノ絵本屋から出版されている絵本の紹介があってイベントは終了となりました。いしいさん、和氣さん、楽しいお話どうもありがとうございました!

 

 

書籍:全国 大人になっても行きたいわたしの絵本めぐり
(ジー・ビー)

書籍:ニジノ絵本屋さんの本
( いしいあや / 西日本出版社)

■参考
ニジノ絵本屋ホームページ https://nijinoehonya.com/
BOOKSHOP LOVER https://bookshop-lover.com/
Readin'Writin' BOOKSTORE http://readinwritin.net/
TheWorthless(ワースレス) https://www.theworthless.info/

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著者略歴

  1. 佐野隆広(タカラ~ム)

    本が好き!レビュアー(本が好き!レビュアー名:タカラ~ム)。はじめての海外文学フェアスタッフ。間借り本屋「タカラ~ムの本棚」店主
    11月から、はじめての海外文学vol.6がはじまりました。

    はじめての海外文学 公式サイト
    https://hajimetenokaigaibungaku.jimdofree.com/

    はじめての海外文学vol.6応援読書会(オンライン読書会)
    https://www.honzuki.jp/bookclub/theme/no395/index.html?latest=20

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