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今月の1位は「悲しい死に方」を知っておけば、避けられる不幸もある『女性の死に方』(双葉社)

本好きが集い、書評を投稿する読書コミュニティ「本が好き!」の 2021年8月の月間人気書評ランキングを発表します。 (同じレビュアーさんが違う書評でランクインしていた場合はより上位の書評のみを掲載しています。つまり2021年8月で、投票数が上位だった10人の書評が掲載されています)

 

1位
女性の死に方
書籍:女性の死に方
(西尾元/双葉社)
レビュアー:yukoさん 得票数:46
書評掲載日:2021-08-09 21:05:11
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/300662/review/265115/

死ぬときはきっと誰でもひとり…

法医解剖医が、これまで行ってきた解剖例をもとに「女性と死」について書いています。
そもそも男性よりも平均寿命が女性のほうが長く、また、未婚率が高くなってきた現代では、ひとりで死ぬ、ということはごくごく当たり前のことなのでしょう。かくいう私も老後は一人であろうことが予想されるわけでして。
いろんな死について書かれていますが、ひとり暮らしで孤独死がものすごく不幸かというとそうではない。むしろ、家族と暮らしているのに誰にも気づかれないままに死ぬほうがずっと悲しい・・・…続きを読む

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2位
デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場
書籍:デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場
(河野啓/集英社)
レビュアー:darklyさん 得票数:37
書評掲載日:2021-08-04 19:16:10
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/300515/review/264916/

副題の「栗城史多のエベレスト劇場」という言葉は確かに栗城さんへの皮肉を含んでいる。しかし、同時に筆者の悔恨やマスコミへの批判も含んでいることは間違いないだろう。

何気なく見ていたNHKのドキュメンタリーで、半泣きのような、苦しそうな様子で自撮りしながら山を登っていく青年の姿に新鮮で妙にリアルな印象を受けた記憶があります。その青年こそ本書の主人公である栗城史多氏です。確かニートの若者が登山に生き甲斐を見つけてといったストーリーで構成されていたと記憶しております。…続きを読む

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3位
うたうおばけ
書籍:うたうおばけ
(くどうれいん/書肆侃侃房)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:36
書評掲載日:2021-08-05 05:32:45
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/292828/review/264762/

“感性”はもちろん、なにより“若さ”がまぶしいが、まぶしくて目をそらしたくなるというよりは、若返りエッセンスをお裾分けしてくれるようなエッセイ集だ。

はじめて“うたうおばけ”と出会ったのは、 書肆侃侃房の「web侃づめ」(外部リンク)の連載を通じてだった。
本当ならここは、“はじめてくどうれいんさんの著作に触れたのは” とでも書くべきなのだろうが、その連載に添えられた“うたうおばけ”の写真が妙に印象的で 著者の名前よりもおばけの名前で脳内インプットされてしまった感がある。…続きを読む

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4位
外来生物のきもち
書籍:外来生物のきもち
(大島健夫/メイツ出版)
レビュアー:休蔵さん 得票数:35
書評掲載日:2021-08-09 07:44:57
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/300519/review/264919/

人間の愚かさを痛感させられる1冊です…

日本国内に本来生息していない生物を外来種と呼ぶ。外来種は“悪”のレッテルが貼られ、駆除することが善行のように高く評価されることもよくある。池の水を抜くことは、ドキドキワクワクのイベントのように放映されている。
でも、これって正しいことなの?外来種と称される動植物が日本列島で繁殖してしまったことには、それなりの背景事情がある。…続きを読む

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5位
小説 シライサン
書籍:小説 シライサン
(乙一/KADOKAWA)
レビュアー:ぽんきちさん 得票数:32
書評掲載日:2021-08-09 20:34:37
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/300566/review/265113/

その女の名を聞いてはいけない。

著者・乙一が本名・安達寛高名義で監督し脚本も手掛けた同タイトル映画のノベライズ。 泊りがけの旅で若者が何人か集まれば、しばしば行われるのが怪談だ。夏の夜など、暗い中でそれぞれが持ちネタを披露する。こういう時に盛り上がるのが、「巻き込み型」のものではないだろうか。例えば、トイレに現れる幽霊が、紙を探していて、「この紙じゃない。この紙じゃない…。この髪だー」と居合わせた誰かの髪をいきなり掴む、などというのは定番だろう。…続きを読む

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6位
八月の髪かざり
書籍:八月の髪かざり
(那須正幹、まみこ,片岡/佼成出版社)
レビュアー:ぱせりさん 得票数:31
書評掲載日:2021-08-20 15:31:21
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/300842/review/265393/

八月の髪かざりは、あの日かえってこなかった姉のひまわりの髪飾り。

女学生のキヨ姉ちゃんは、セーラー服にもんぺ姿で、肩からたすきがけに防災頭巾と雑嚢をかけて出かけて行った。お母さんに買ってもらったひまわりの髪飾りは、非常時ゆえ身に着けることはできなかったが、机の引き出しに大切にしまっていた。
キヨ姉ちゃんが死んだら、あの髪飾りをもらっていい? 妹の久江さんは言う。子どもの言葉なのだ。ほんとうにキヨ姉ちゃんに死んでほしいわけがない。…続きを読む

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6位
うそをつく子 ―助けを求められなかった少女の物語
書籍:うそをつく子 ―助けを求められなかった少女の物語
(トリイ・ヘイデン、入江真佐子/Array)
レビュアー:スーヌさん 得票数:31
書評掲載日:2021-08-28 19:09:54
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/301157/review/265972/

その子は何かを隠している 嘘の後ろには真実が隠れている それを見出すのに必要なのは綿密な調査と、事件解明への熱意だ

著者は児童心理学者で特殊学級の元教師で、これまでも児童虐待がテーマの事実を元にした小説を発表しています。
 ですがそういう作品にありがちな、ことさらに感動を煽るような内容ではなく、特に今回はむしろミステリーのカテゴリーに入れてもいいくらいの緻密な筋立てです。なのでお涙頂戴みたいな話が苦手な人でも大丈夫です。私はこれがハヤカワポケットミステリの新刊でもおかしくないと思っています。…続きを読む

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6位
月とコーヒー (文芸書)
書籍:月とコーヒー (文芸書)
(吉田篤弘/徳間書店)
レビュアー:三太郎さん 得票数:31
書評掲載日:2021-08-17 08:53:34
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/284306/review/265371/

待ち合わせの合間に喫茶店でそっと読むのによさそうですが、本がちょっと厚めなのが難点かな。枕元に置いて眠る前に読むのがよいのかも。挿絵もよいですよ。

「月とコーヒー」のタイトルにひかれてつい手に取っていました。月はともかくコーヒーは大好物だから。
目次を見ると24編の短編小説が12ページごとに几帳面にならんでいます。各々の小説は独立したもので、どこから読んでもよさそうですが、実は青インクにまつわる3篇の小説は連作です。この3篇は本の前半と真ん中と最後に配されているので、やはり順番に読んでいくのがよさそうです。…続きを読む

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9位

書籍:決定版 日本のいちばん長い日
(半藤一利/文藝春秋)
レビュアー:紅い芥子粒さん 得票数:30
書評掲載日:2021-08-11 09:53:22
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/9357/review/265170/

大日本帝国終焉の日。ひとにぎりの帝国軍人が、一億玉砕、徹底抗戦を叫んで蹶起した。

ポツダム宣言受諾から終戦の玉音放送まで。当事者への取材を重ねて書かれた、著者渾身の歴史ノンフィクションである。
連合国が日本政府にポツダム宣言をつきつけてきたのは、昭和20年7月27日だった。このとき、宣言を受諾していれば、ヒロシマもナガサキもなかったはずなのに、ときの内閣は、これを黙殺した。
彼らがこだわったのは、”国体の護持”。天皇制の存続が保証されない限り、降伏はできないというのだ。多くの国民の生命が失われ、都市は焼け野原になっているというのに。…続きを読む

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9位
氷柱の声
書籍:氷柱の声
(くどうれいん/講談社)
レビュアー:たけぞうさん 得票数:30
書評掲載日:2021-08-20 21:32:58
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/299857/review/265551/

東日本大震災を題材にして先入観と偏見をあぶり出す。

とてつもない作品に当たりました。先行書評に感謝です。なぜこの作品が芥川賞受賞とならなかったのか不思議です。非常に理知的で、詩のような切れ味の鋭さがあるのに、 とても読みやすい作品です。…続きを読む

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9位

書籍:地を這う虫
(高村薫/文藝春秋)
レビュアー:ことなみさん 得票数:30
書評掲載日:2021-08-28 00:27:42
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/77314/review/265922/

日陰にありながら矜持を保ち続ける男たちの、敗れざる物語です――裏表紙――

一言拝借しました。
充実して忘れがたい短編集です、先行の「黄金を抱いて跳べ」を読んで、その後「マークスの山」「リヴィエラを撃て」と前後して読み、あまりの面白さに買ってきて積んでいたのを、本棚の整理で掘り出しました。 …続きを読む

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  1. 365bookdays編集部

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