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monthly bookreview ranking

今月の1位は、江戸城明け渡しまで一日。時代の終わりに立ち会った五人の物語『残り者』(双葉社)

本好きが集い、書評を投稿する読書コミュニティ「本が好き!」の 2022年10月の月間人気書評ランキングを発表します。 (同じレビュアーさんが違う書評でランクインしていた場合はより上位の書評のみを掲載しています。つまり2022年10月で、投票数が上位だった10人の書評が掲載されています)


1位

残り者
書籍:残り者
(朝井まかて/双葉社)
レビュアー:yukoさん 得票数:42
書評掲載日:2022-10-01 13:17:40
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/238843/review/281802/

時は幕末。明け渡し日の前日の江戸城に居残った5人の女たちの物語

慶応四年四月十日。江戸城、西丸の御座之間に集められた百七十人ほどの奥女中に向かって、天璋院は、「ゆるゆると、急げ」と告げ、一橋邸へ引き移りました。 二百人はいる部屋方も長局から出てきたことで、殿中は天と地を取り違えそうな騒動に。 我先にと出ていこうとする女たちの混雑の中で、呉服之間の「りつ」は、ふと、御針の始末をしただろうか・・・と気になって仕方なく、向かうべき裏門とは逆の方向へ歩き出していました。 明日から、どう生きていけばいいのだろう。…続きを読む

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2位
813
書籍:813
(モーリス・ルブラン/新潮社)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:38
書評掲載日:2022-10-08 06:39:38
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/71029/review/281974/

やっぱりルパンは面白い!! 『813』の魅力に迫る4連続(!)レビュー第1弾!?

ダイヤモンド王ルドルフ・ケッセルバックが泊まるホテルの部屋にアルセーヌ・ルパンが押し入った。その翌日ケッセルバックは他殺体となって発見され、遺体の胸には血まみれのルパンの名刺が! 捜査中の警察の目をかいくぐり、ホテルのボーイ、ケッセルバックの秘書までもが殺害される。ケッセルバックはある人物の調査を進めており、謎の暗号「813」と「APOON」がその鍵となっているらしいのだが…。…続きを読む

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2位
八月の母
書籍:八月の母
(早見和真/KADOKAWA)
レビュアー:darklyさん 得票数:38
書評掲載日:2022-10-19 19:29:09
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/306436/review/282685/

私はこの作品を優れた小説だと思う。しかし受け入れることはできない。

作者の早見さんは松山に6年間移住され、愛媛が舞台の作品を生み出されていましたが、本作品がその最後となります。早見さんが何かのインタビューで愛媛に住んでこの作品を書かざるを得なかったという趣旨の発言を聞いたとき、私はあの事件のことではなかろうかと暗い気持ちになったことを覚えています。本書を読み進んでいくにつれ、その予感は的中し次第に読むのが辛くなってきました。…続きを読む

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2位
あるじなしとて
書籍:あるじなしとて
(天津佳之/PHP研究所)
レビュアー:ぽんきちさん 得票数:38
書評掲載日:2022-10-17 09:25:26
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/310147/review/282580/

東風は吹く。春は来る。いつか。必ず。

菅原道真といえば、学問の神様である。と同時に、死後、怨霊となり、自らを追い落とした者たちを祟り殺したという伝説の持ち主でもある。 そんな伝説が生まれたのは、彼が、おそらく無実の罪を着せられて、大宰府に左遷され、彼の地で衣食住も満足でないまま、不遇の死を遂げたためだ。…続きを読む

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5位

北斎まんだら
書籍:北斎まんだら
(梶よう子/講談社)
レビュアー:三太郎さん 得票数:37
書評掲載日:2022-10-02 14:56:22
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/311540/review/281934/

あの葛飾北斎晩年の人間模様を描いた、ちょっとくだけた調子の時代小説。

初めて読む作家さんだし、日頃から時代小説はほぼ読まないのだが、北斎の名前につられてつい手に取ってしまった。富嶽三十六景を出した後のことで北斎が70代前半、娘の応為が40歳の頃のお話だ。主人公は北斎ではなくて娘の応為(お栄)のようだった。…続きを読む

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6位
蜘蛛女のキス
書籍:蜘蛛女のキス
(マヌエル・プイグ、マヌエル・マヌエル・プイグ/集英社)
レビュアー:Wings to flyさん 得票数:36
書評掲載日:2022-10-26 06:22:39
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/186130/review/282891/

「蜘蛛女」のキスに、愛がこもっていたのは確かなことだ。

ほぼ全編が会話文で出来ているこの小説を読むのは、電車に乗っている時に隣に座った二人連れの会話が耳に入ってくる状況に似ている。最初は彼らがどういう関係なのかわからないけれど、なんとなく聞いているうちにわかってくるところとか。…続きを読む

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7位
家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった
書籍:家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった
(岸田奈美/小学館)
レビュアー:ぱせりさん 得票数:35
書評掲載日:2022-10-03 11:43:47
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/292453/review/281256/

互いの凸凹こそが愛おしい

おとうさんは著者が中学の時に亡くなる。著者が高校一年生の頃、お母さんは病気で(九死に一生を得たもの)車椅子の生活になってしまった。(お母さんは二年もの間、リハビリ兼ねて入院する)四歳下の弟はダウン症だ。 十代の子がひとりで背負うにはあまりに過酷な境遇ではないか、と思う。その後も、著者が負ってきたもの、越えていかなければならなかったもの、ここに書かれていないことがたくさんたくさんあるにちがいない。 だけど、この本の趣旨は、そういうことではない。 …続きを読む

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7位
ソクラテスの妻
書籍:ソクラテスの妻
(柳広司/文藝春秋)
レビュアー:ことなみさん 得票数:35
書評掲載日:2022-10-07 23:47:33
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/281062/review/282200/

ギリシャ神話にまつわる、こんな面白い短編がたった12編だけで終わっている。わずか182ページなのに面白くて長く書いてしまった。

短くて残念だと思ってあとがきを読むと、アテネ・オリンピックに因んで、開催の前年から書き始めて12編まできたところでオリンピックが終了。と共に連載が打ち切りになったそうだ。 たった12作で終わっている理由。こんな面白い作品を200作は書く予定だったそうで、これを読んで小さな涙がチロッと出た。文庫本になってすぐ買ったのを今になって読んでいるような読者の言い草とも思えないが、とっても面白かった。 …続きを読む

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9位
幸福論
書籍:幸福論
(アラン/岩波書店)
レビュアー:茜さん 得票数:34
書評掲載日:2022-10-09 01:33:21
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/36228/review/282244/

「哲学を文学に、文学を哲学に」変えようとするこの独特の文章は「フランス散文の傑作」と評される。

「ルーアンの新聞に「日曜語録」として連載されたのを皮切りに、総計5000に上るアランの「プロポ」(哲学断章)。「哲学を文学に、文学を哲学に」変えようとするこの独特の文章は「フランス散文の傑作」と評される。幸福に関する93のプロポを収めた本書は、日本でも早くから親しまれてきたもの。」(本文より)
325ページの本書ですが、読了するまでにかなりの時間を要しました^^; …続きを読む

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10位
子供が王様 (海外文学セレクション)
書籍:子供が王様 (海外文学セレクション)
(デルフィーヌ・ド・ヴィガン、河村真紀子/東京創元社)
レビュアー:星落秋風五丈原さん 得票数:33
書評掲載日:2022-10-04 04:25:46
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/311579/review/282008/

キッズインフルエンサーの功罪について

若い頃、テレビのリアリティ・ショーに夢中になったメラニー。彼女は今や、サミーとキミ―という兄妹の母となり、子供たちをYouTubeで公開して、何百万人もの視聴者を獲得する。サミーとキミ―はキッズインフルエンサーとして有名になり、沢山のスポンサーがついていた。しかしある日、かくれんぼの最中に7歳になった娘が失踪。誘拐が疑われ、脅迫状も届く。金目当て? 成功者への嫉妬? 彼女と同世代の警察官クララが事件を精査し始める。…続きを読む

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10位
おいしいごはんが食べられますように
書籍:おいしいごはんが食べられますように
(高瀬隼子/講談社)
レビュアー:たけぞうさん 得票数:33
書評掲載日:2022-10-08 00:05:22
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/305582/review/281849/

ざらり。ざらり、、、ざらり。

なにげない日常です。それなりの規模の会社の、支店の事務所が舞台です。仕事人間や、パワハラもどき、空気を読まない噂好きのおばさん、みんなに愛想よくすることを最優先する女性。よくある人間関係です。 柔らかい筆致で書かれているから、書かれている内容とのギャップが浮き彫りになって面白いです。 …続きを読む

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10位
たたらの実像をさぐる 山陰の製鉄遺跡
書籍:たたらの実像をさぐる 山陰の製鉄遺跡
(角田徳幸/新泉社)
レビュアー:休蔵さん 得票数:33
書評掲載日:2022-10-03 07:17:04
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/310726/review/280559/

近世・近代に鉄を作っていた遺跡やその原料である砂鉄を採掘した遺跡を紹介する1冊。

「鉄は国家なり」という言い方がある。本書には、高度経済成長期に鉄が「産業のコメ」と言われていたことを記している。  鉄は武器にも農具にも工具にも必要不可欠な素材で、それは令和の世の中でも変わらない。  当然のことながら、歴史を遡ると鉄は自前でなんとかするしかなかった。  本書は近世・近代に鉄を作っていた遺跡やその原料である砂鉄を採掘した遺跡を紹介している。…続きを読む

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  1. 365bookdays編集部

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