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monthly bookreview ranking

今月の1位は、自然の美しさと残酷さ、孤独な少女の成長譚に惹きつけられる『ザリガニの鳴くところ』 (早川書房)

本好きが集い、書評を投稿する読書コミュニティ「本が好き!」の 2020年9月の月間人気書評ランキングを発表します。 (同じレビュアーさんが違う書評でランクインしていた場合はより上位の書評のみを掲載しています。つまり2020年9月で、投票数が上位だった10人の書評が掲載されています)

1位
ザリガニの鳴くところ
書籍:ザリガニの鳴くところ
(ディーリア・オーエンズ/早川書房)
レビュアー:ぽんきちさん 得票数:43
書評掲載日:2020-09-12 13:14:44
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/286698/review/250854/

ザリガニが鳴くところとはどこか
32週に渡ってニューヨークタイムズ・フィクションベストセラーの1位を飾り、2019年、アメリカで最も多く売れたという作品である。
著者の経歴が少々変わっていて、元々は動物学者であり、ノンフィクションの共著が3作ある。一方で、小説家になる夢もあったのだそうで、70歳を過ぎて初めて書いたフィクションが本作である。
作品自体も一風変わっていて、ミステリのようでもあり、自然の美しさを描くようでもあり、何よりも主人公「カイア」の人生を描いているようでもある。
時折はさまれる詩も印象的である。幼少期の著者の文学少女ぶりを彷彿とさせる。…続きを読む

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2位
せんそうがやってきた日
書籍:せんそうがやってきた日
(ニコラ・デイビス、レベッカ・コッブ、長友恵子/鈴木出版)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:40
書評掲載日:2020-09-16 05:51:12
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/289838/review/250129/

最初のページを開くと、真ん中にぽつんと、誰も座っていない小さな椅子が現れる。
最初のページを開くと
真ん中にぽつんと
誰も座っていない小さな椅子が現れる。

そこには
[この本を、すべてを失い、ひとり取り残された子どもたちと、
そんな子どもたちを支援する人びとに捧げます]
と書かれている。

せんそうと椅子がどのような関係にあるのか
それは本を読んでいくうちにあきらかになっていくはずだ。…続きを読む

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3位
村上T 僕の愛したTシャツたち
書籍:村上T 僕の愛したTシャツたち
(村上春樹/マガジンハウス)
レビュアー:darklyさん 得票数:36
書評掲載日:2020-09-01 20:40:56
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/289939/review/250291/

意図せず集まってしまったTシャツに関するエッセイで一冊の本を書くとはさすが引き出しが多いですね。
本書は村上春樹さんが意図して集めようとしたわけではないが、集まってしまったTシャツについてカテゴリーごとにピックアップし、それにエッセイをつけた雑誌「ポパイ」の連載を書籍化したものです。…続きを読む

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3位
写楽
書籍:写楽
(皆川博子/KADOKAWA)
レビュアー:紅い芥子粒さん 得票数:36
書評掲載日:2020-09-17 14:18:55
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/292194/review/251080/

写楽の史実に迫ろうとしたわけではない。稲荷町の名もない役者だった一人の若者に、東洲斎写楽という、うたかたの夢のような名前を与えてみた。そんな物語だ。
1994年に単行本で刊行され、26年経って、ようやく文庫化された。
20年ぐらい前に図書館で借りて読んだことがある。
いつのまにか図書館でもみかけなくなったので、文庫化は、うれしい。
印象に残っているのは、遊芸の女乞食の集団に混じって、片足の不自由な女装の若者が、杖を巧みに操りながら、くるくるとあでやかに舞う姿。…続きを読む

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5位

書籍:あなたが愛した記憶
(誉田哲也/集英社)
レビュアー:ことなみさん 得票数:35
書評掲載日:2020-09-13 18:45:52
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/241460/review/250921/

良くも悪くも誉田哲也 #ナツイチ
ああやっと気がついた、面白かった誉田哲也の「武士道シックスティーン」は彼の一部だった。
若いのでこれから充実した代表作が出るだろうけれど、今のところ「ジウ」「ストローベリーナイト」に始まる姫川警部補のシリーズがある人という印象。
どちらもちょっと一話だけは読んでみたが、ホラー作家だなと思えるグロテスクでショッキングなシーンが多くある。…続きを読む

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6位
フーガはユーガ
書籍:フーガはユーガ
(伊坂幸太郎/実業之日本社)
レビュアー:三毛ネコさん 得票数:34
書評掲載日:2020-09-05 10:49:31
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/270358/review/250440/

特殊能力を持った双子の兄弟の物語です。
風我と優我は双子の兄弟である。家では父親が暴力を振るい、母親も兄弟を助けてくれない。
小学校の時、2人は不思議な体験をする。2時間ごとに2人が瞬間移動し、入れ替わるのだ。しかし、次の日にはその現象は起きなかった。だが、時が経つとまた入れ替わりを体験する。どうやら、この現象は2人の誕生日にだけ起きるようなのだ。…続きを読む

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7位
虫めづる姫君 堤中納言物語
書籍:虫めづる姫君 堤中納言物語
(作者未詳、蜂飼耳/光文社)
レビュアー:ぱせりさん 得票数:33
書評掲載日:2020-09-12 11:30:48
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/288028/review/249336/

「遠い昔の物語を、いまも読めるということは」
『堤中納言物語』は、平安~鎌倉時代に書かれた、作者(編者も)不詳(一篇を除いて)の11篇の物語を集めた短編集だ。
なぜこの物語集が『堤中納言物語』となったのかわかっていないが、一説には、(11篇が)「ひとつつみ」にまとめられた物語だから、と言われているそうだ。
『堤中納言』の「堤」は、ひとつつみのつつみなのだ、と思えば、この物語集が、愛らしい結び目のある小さな包みの姿に見えてくる。…続きを読む

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7位

書籍:エレンディラ
(ガブリエルガルシア・マルケス、G.ガルシア・マルケス/筑摩書房)
レビュアー:はなとゆめ+猫の本棚さん 得票数:33
書評掲載日:2020-09-15 06:10:11
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/2874/review/250977/

エレンディラは悲惨な過去からときはなされた。まだ、その時は青春の入り口だった。
ガルシア・マルケスはノーベル文学賞を受賞しているコロンビアの作家。
 ガルシアカルケスの作品は、この作品集もそうだが、天使や大男、大きな蜘蛛が登場して死人がでるのだが、作品は乾いていて、じめじめした悲惨さは全くない。そして、不思議なのだが、我々には怪物などありえないと思っているが、アマゾンの奥地には実在しているのではと思わせるリアリティがある。…続きを読む

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7位
王妃マルゴ
書籍:王妃マルゴ
(アレクサンドルデュマ、Dumas,Alexandre、茂,鹿島/文藝春秋)
レビュアー:DBさん 得票数:33
書評掲載日:2020-09-16 20:30:26
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/292260/review/250994/

血塗れの王座と恋の話
血まみれのドレスを着て何かに驚いているらしい女性が表紙になっています。
女性はもちろん主人公のマルゴなんだろうけど、はたして誰の血にまみれているんだろう。
王妃マルゴはカトリーヌ・ド・メディシスとフランス王アンリ2世の三女です。
父と兄がなくなり王位についたシャルル9世の妹で、物語は彼女がナヴァール王アンリに嫁ぐシーンではじまります。…続きを読む

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7位
我らがパラダイス
書籍:我らがパラダイス
(林真理子/毎日新聞出版)
レビュアー:Kuraraさん 得票数:33
書評掲載日:2020-09-18 21:33:09
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/246601/review/251105/

前半はリアル、後半は大暴走!展開の激しさに呆然となる。
「おいおいおい、なんという展開にしてくれるんだ!」と、途中からの激しい状況変化に気が遠くなりそうだった(笑)
本作のテーマは「介護」。前半は、妙にリアルな家族の介護問題から出発。家族間の会話がとにかく生々しく、林さんの経験や人から聞いた話がだいぶ含まれているんだろうな~なんて思っていた。くわえて、舞台である広尾の高級介護付きマンション「セブンスター・タウン」に住むお金持ちの老人たちの人物描写もかなり具体的で興味深い。…続きを読む

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  1. 365bookdays編集部

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