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monthly bookreview ranking

今月の1位は、『京都「私設圖書館」というライフスタイル』(コトコト)

本好きが集い、書評を投稿する読書コミュニティ「本が好き!」の 2023年8月の月間人気書評ランキングを発表します。 (同じレビュアーさんが違う書評でランクインしていた場合はより上位の書評のみを掲載しています。つまり2023年8月で、投票数が上位だった10人の書評が掲載されています)

1位
京都「私設圖書館」というライフスタイル
書籍:京都「私設圖書館」というライフスタイル
(田中厚生/コトコト)
レビュアー:休蔵さん 得票数:35
書評掲載日:2023-08-14 08:20:55
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/279236/review/294238/

本書が紹介する「私設圖書館」は、京都市にある有料のスペース。本書は「私設圖書館」を立ち上げて、経営してきた店主が著した1冊。「型にはまらない生き方」を追求した先に結実した空間です。

本書が紹介する「私設圖書館」をはじめて知ったのは、NHK総合の「ドキュメント72時間」だった。
 いろんな人たちが思い思いに過ごす不思議な空間が映し出されていて、妙に魅かれてしまった。
 京都市にあること、そして有料のスペースであることも番組で知った。
 本書は「私設圖書館」を立ち上げて、経営してきた店主が著した1冊である。…続きを読む

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2位
逃げまくった文豪たち
書籍:逃げまくった文豪たち
(真山知幸/実務教育出版)
レビュアー:ぱるころさん 得票数:34
書評掲載日:2023-08-02 10:12:13
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/318030/review/293530/

頑張り過ぎている自分に、こう言えたらいい。

「辛くなったら逃げてもいい」という考え方が、かつてよりは浸透してきた気がする。それでも、逃げることに対する罪悪感や、逃げた先での不安はつきもの。逃げるにも覚悟が要る、ということだ。
後世に名を残す文豪たちはどうだったのか。本書では、国内外の「逃亡した文豪」45名を紹介。生い立ちやエピソードを3〜5ページ程度の文章に盛り込み、 「技術点」…逃亡を実行できた行動力
「芸術点」…逃亡や逃避願望が文学活動に与えた影響
などの観点で点数化する構成となっている。…続きを読む

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3位
ひとり旅日和
書籍:ひとり旅日和
(秋川滝美/KADOKAWA)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:33
書評掲載日:2023-08-04 05:38:52
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/309205/review/293321/

あじの干物が食べたいの! #カドブン夏推し2023

実のところ、ひとり飯もひとり旅も全く苦にならないが、経験豊富とは言いがたい。 なにしろ、昔から自他共に認める出不精ななのだ。
とはいえ「ここではないどこか」に出かける旅は嫌いじゃない。
もっともこれも昔から、旅の一番の楽しみはあれこれと「計画を立てる」ことではないかと思ってはいるのだけれど…。…続きを読む

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4位
ゴリラ裁判の日
書籍:ゴリラ裁判の日
(須藤古都離/講談社)
レビュアー:ぽんきちさん 得票数:32
書評掲載日:2023-08-14 08:29:14
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/318485/review/294149/

ゴリラとヒトの違いって何?

2023年メフィスト賞受賞の意欲作。メフィスト賞というのは、講談社の文芸雑誌「メフィスト」が主催する新人文学賞。<究極のエンターテインメントを求む>という掛け声のもと始まった、賞金ナシ、締切ナシ、下読みナシのちょっと変わった賞である。賞金はないが、受賞すれば出版されるので、印税が賞金替わりというところだろう。これまでに、森博嗣、乾くるみ、殊能将之、舞城王太郎、西尾維新、辻村深月といった作家を輩出している。…続きを読む

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4位
いちじくのはなし
書籍:いちじくのはなし
(しおたにまみこ/ブロンズ新社)
レビュアー:ぱせりさん 得票数:32
書評掲載日:2023-08-12 13:24:27
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/317423/review/292206/

なんてシュールなのでしょう

いちじくのおはなし会が始まった。
キッチンのくだものかごの前に、たまごやマシュマロ、はっかあめたちがあつまってくる。
暗くなると、かごのふきんがめくれ、いちじくがあらわれて語り始める。
「まだ わかく あまみも うすかったころ、
 わたしは あてもなく たびをしていた」
と始まるおはなしは、いちぢくがヒーローになる三つの冒険譚。…続きを読む

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6位
黄色い家 (単行本)
書籍:黄色い家 (単行本)
(川上未映子/中央公論新社)
レビュアー:紅い芥子粒さん 得票数:31
書評掲載日:2023-08-12 08:18:20
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/314898/review/294289/

親ガチャという言葉の意味の深刻さを、わたしたちは、もっと考えるべきではないだろうか。

花は、東村山の文化住宅で母親と暮らしていた。母親はホステスで、金銭にだらしない人だった。父親は、花が小学生のときに家からいなくなった。母親にも当然のようにオトコができて、花が待つ家に帰らない日もあった。…続きを読む

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7位
桃を煮るひと
書籍:桃を煮るひと
(くどうれいん/ミシマ社)
レビュアー:たけぞうさん 得票数:30
書評掲載日:2023-08-27 10:50:36
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/317335/review/294582/

ああ、桃を煮てみたい。焦げちゃったとしても。

最高ですね。この人の作る文章には、いつも揺さぶられてしまいます。初めて読んだ作品は、ショートカット先「氷柱の声」です。残念ながら芥川賞受賞とはなりませんでしたが、その後に何冊か読み、著者は非凡な才能を持っているだろうと確信しました。 この本はエッセーなので、なんてことのないオモシロ系の一冊なのですが、わたしにはなぜか深く刺さるものがありました。著者の魅力をうまく言語化できず、もどかしい限りです。…続きを読む

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8位
読書する人だけがたどり着ける場所
書籍:読書する人だけがたどり着ける場所
(齋藤孝/SBクリエイティブ)
レビュアー:茜さん 得票数:29
書評掲載日:2023-08-22 21:54:58
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/273626/review/294689/

「ネットがあるのになぜ本を読むのか」。本を読むことでしか学べないことは、確実にあります。

まず、本書タイトルである「たどり着ける場所」が気になって読んでみましたが、残念ながら「たどり着ける場所」は明記されていません。
ちょっとがっかりでしたが読んで損をしたとは思いませんでした。
読書の仕方や色々な名著が掲載してあり、それだけでも読んでよかったなと思えたからです。ただ漠然と字面を追いかけていくより、この時の主人公の考え方は?とか想像しながら読んでみたりなんて面白いですよね。…続きを読む

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9位
マザコン
書籍:マザコン
(角田光代/集英社)
レビュアー:三太郎さん 得票数:28
書評掲載日:2023-08-12 13:38:15
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/178688/review/294288/

母と娘、あるいは母と息子の難しい関係について。

久しぶりに角田さんの作品を読む。8篇からなる短編集で、2004年から2007年にかけて雑誌に掲載されたもの。全体を通してのテーマがあるとしたら、家族の問題、それも母親と息子、母親と娘の面倒な関係だ。
たとえば空を蹴るの主人公は30歳前後の二人兄弟の弟で、父親は既に亡くなっている。彼は大学卒業後も定職に就かず、昔の友達とカラオケに行ったり借りたCDで好きな音楽を聴いたりして過ごしている。…続きを読む

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10位
青の炎
書籍:青の炎
(貴志祐介/角川書店)
レビュアー:DBさん 得票数:27
書評掲載日:2023-08-15 23:22:33
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/3262/review/294265/

青の炎に焼き尽くされる話

カドフェス2023です。四半世紀前に書かれたミステリーだが、そういえばスマホが出てこないなというくらいで古さはあまり感じない。
主人公は櫛森秀一、美術部所属の高校生だ。
ロードバイクで高校に通う姿が軽快に描かれています。
脚力をすべて推進力に変換するのがロードバイクだそうですが、バイトでためたお金でフレームを買い自分で改造して乗っている秀一は努力型の人間だと思う。…続きを読む

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10位
トマスと図書館のおねえさん
書籍:トマスと図書館のおねえさん
(パット・モーラ,ラウル・コローン,藤原宏之/さえら書房)
レビュアー:morimoriさん 得票数:27
書評掲載日:2023-08-14 08:53:35
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/318594/review/294351/

本を読む楽しさを教えてくれた図書館のおねえさん。図書館ではいろいろな楽しいことが待っている。

トマスの両親はメキシコからの移民で、アメリカ国内を移動しながら野菜や果物の収穫にあわせ、農家の仕事を手伝っている。満足に学校へ通うことができないトマスは、親切な図書館員のお姉さんとの出会いがきっかけとなり図書館に通うようになり、本を読む喜びを知る。カリフォルニア大学学長の幼い日の思い出をもとにした絵本。…続きを読む

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10位
風にのってきたメアリー・ポピンズ
書籍:風にのってきたメアリー・ポピンズ
(P.L.トラヴァース/岩波書店)
レビュアー:hackerさん 得票数:27
書評掲載日:2023-08-01 02:38:04
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/45448/review/293596/

映画『メリー・ポピンズ』(1965年)は、『冒険者たち』(1967年)『第三の男』(1949年)と並んで、私の映画好きを決定づけた作品の一つです。

1935年、イギリス生まれのジュリー・アンドリュースは、古い映画ファンにとっては『メリー・ポピンズ』(1964年)若しくは『サウンド・オブ・ミュージック』(1965年)で、生涯記憶に残る女優です。演技力がずば抜けていたとは思いませんが、歌唱力の点ではおそらく歴代ベストの一人であったことでしょう。Wikipedia で紹介されている彼女の有名な言葉が、それを証明しています。…続きを読む

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10位
新車のなかの女【新訳版】 (創元推理文庫)
書籍:新車のなかの女【新訳版】 (創元推理文庫)
(セバスチアン・ジャプリゾ/東京創元社)
レビュアー:そうきゅうどうさん 得票数:27
書評掲載日:2023-08-14 20:39:32
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/228717/review/294386/

可能なら、同じ「分身」をテーマとするヘレン・マクロイの『暗い鏡のなかで』と読み比べてみてほしい。多分、英米の古典的なパズラーに対してフランス・ミステリがどのような構造を持っているかが分かるだろう。

パリの広告代理店に勤めるOL、ダニー・ロンゴは、社長一家を空港まで送り届けた後、突然思い立って、本来なら社に戻すはずのサンダーバードを駆って、勝手に南仏へと旅立ってしまう。 「もし事態が悪化して、逮捕されたならば、説明を求められて──あれは、何ていったかしら──そう、身の証(あかし)を立てねばならなくなったら、まずはそこから始めよう。」だがその行く先々には本当に「もう一人の自分」が現れ、彼女は翻弄されていく…。 …続きを読む

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