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monthly bookreview ranking

今月の1位は、タイトルにハートを射抜かれる!料理研究家コウケンテツさんのエッセイ集『本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ』(ぴあ)

本好きが集い、書評を投稿する読書コミュニティ「本が好き!」の 2020年11月の月間人気書評ランキングを発表します。 (同じレビュアーさんが違う書評でランクインしていた場合はより上位の書評のみを掲載しています。つまり2020年11月で、投票数が上位だった10人の書評が掲載されています)

1位
本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ
書籍:本当はごはんを作るのが好きなのに、しんどくなった人たちへ
(コウケンテツ/ぴあ)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:43
書評掲載日:2020-11-25 06:21:20
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/293570/review/254320/

作っても、作っても、また作らないといけないのが、毎日のごはん……。

レビューを書くとき、私は大抵、キッチンの端に置いてあるデスクトップに向かっている。そうしてそんなときは並行してコンロに鍋をかけてなにかを煮ていたり、オーブンでなにかを焼いていたりしていることが多い。
料理は嫌いではない。 どちらかというと「好き」な方だと思う。 でもたぶん、1年365日、日に3食のことを考えず、 好きなときに好きな物を作っていいのだとしたら もっとずっと好きになっていたと思う。…続きを読む

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2位
ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界
書籍:ハーメルンの笛吹き男―伝説とその世界
(阿部謹也/筑摩書房)
レビュアー:三太郎さん 得票数:36
書評掲載日:2020-11-13 22:54:52
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/73404/review/253057/

13世紀のドイツの小さな町で起こったある事件はなぜ伝説になったか?中世ヨーロッパの厳しい階級社会と飢餓と貧困が生んだ伝説だったのだろうか・・・

13世紀の欧州というのは日本の鎌倉時代に似て、権力が分散しつつ新しい支配者層が生まれた時代らしい。だから社会は混とんとして今の我々からは見えない部分が多い。特に欧州ではこの時期は読み書きはラテン語だけだったから、文献として残された情報は極めて乏しかった。
この本の主役はあのハーメルンの笛吹き男だ。…続きを読む

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3位
一人称単数
書籍:一人称単数
(春樹,村上/文藝春秋)
レビュアー:darklyさん 得票数:35
書評掲載日:2020-11-18 21:01:50
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/290610/review/254143/

村上春樹の短編集には珍しくファンタジー色があまりない。以前刊行された「猫を棄てる」で語られたように村上春樹自身の人生の回想のような印象を受ける作品が多い。

村上春樹の短編と言えばファンタジーであったり少し意味不明な話が多い印象を私は持っていますがこの短編集は村上さんが実際に経験したり(もちろんそれは定かではないが)、頭にこびりついて離れないイメージや言葉を元にした随想に近い作品が多い印象です。…続きを読む

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3位
老人と海(新潮文庫)
書籍:老人と海(新潮文庫)
(ヘミングウェイ、高見浩/新潮社)
レビュアー:紅い芥子粒さん 得票数:35
書評掲載日:2020-11-06 17:06:14
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/290170/review/253625/

海原に浮かぶ木っ端のような舟にあって、少年の目に老人は、海神のように、雄々しく、神々しく、輝いて見えたことだろう。

新訳である。そのためか、巻末の解説、訳注、作者略歴が、とても充実している。ヘミングウェイ初心者のわたしは、作者略歴から読み始めた。
生年は、1899年。川端康成と同じ年だ。父は外科医でナチュラリスト。少年時代から、父親から狩猟や釣りの手ほどきを受けた。18歳で新聞記者になったり、第一次世界大戦のとき救急車要員に志願してイタリアで大ケガしたり……行動的で、じっとしていられない人だったようだ。…続きを読む

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5位
樹木たちの知られざる生活: 森林管理官が聴いた森の声
書籍:樹木たちの知られざる生活: 森林管理官が聴いた森の声
(ペーター・ヴォールレーベン、長谷川圭/早川書房)
レビュアー:ぱせりさん 得票数:33
書評掲載日:2020-11-14 07:22:07
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/293300/review/253727/

樹木たちの社会生活に驚く。

植物と自分たち人間とは、そのありようが、あまりにも違いすぎて、こちらに引き寄せて理解しようなんてことは、思いもしなかった。どちらも確かに生き物であるが。だから、社会生活、友情とか、言葉とか、子育てとか……人ではなくて、樹木の間の話に、そういう言葉が出てくることに、最初は驚いたけれど……
長年、森林の管理に携わってきた著者によって書かれたエッセイ(になるのだろうか?)は、樹木たちの驚くような能力、生活を伝えてくれる。…続きを読む

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5位

書籍:犬の心臓 (KAWADEルネサンス)
(ミハイル・A・ブルガーコフ/河出書房新社)
レビュアー:ことなみさん 得票数:33
書評掲載日:2020-11-12 15:30:57
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/204216/review/253861/

死んだ若い男の脳下垂体を犬に移植したら、犬が人間化したという。SFのような怪奇小説のような、面白怖い作品。

ただ、これが革命直後、レーニン時代に書かれたということを解説で読んだ。新しいソ連体制に真っ向から立ち向かう作品ではなく、多くの非リアリズム的で幻想的な作品が書かれた時代、これもその中に含まれる。ブルガーコフは時代の風俗を風刺したこのような滑稽さも含めた作品で何とか息を継ぎ、レーニンから舞台の仕事をもらったとか。本音とは矛盾した生活は彼にとって不幸な時代ではなかっただろうか。1989年になるまで出版はされなかったらしい。…続きを読む

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7位
ぼくだけのぶちまけ日記
書籍:ぼくだけのぶちまけ日記
(スーザン・ニールセン、長友恵子/岩波書店)
レビュアー:星落秋風五丈原さん 得票数:32
書評掲載日:2020-11-09 06:11:33
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/289708/review/253718/

カワイイ表紙に騙されてはいけない!彼がぶちまけるのは…

不満げな男の子。本には何やら文字が書いてある。実は「The reluctant journal of Henry K.Larsen」という原題だったりする。邦題からはどんな内容をイメージするだろうか。この年頃の少年少女は、家でも学校でも不満があって、ストレートに友達や家族に言えないことを日記だけにぶちまけている。だからこのタイトルになった、と。…続きを読む

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7位

書籍:楽園のカンヴァス
(原田マハ/新潮社)
レビュアー:すずはら なずなさん 得票数:32
書評掲載日:2020-11-13 18:16:36
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/219242/review/253895/

映画の「予告編」を想像してしまう。流麗な音楽と大きな効果音。知的な美女、海外の風景。ドアを開けると現れる謎の老富豪と鮮やかな色彩のルソーの絵。鑑定の勝者は誰か、研究者のプライドと意地。そして謎の古書。

実在の芸術家や作品を絡めた大掛かりなサスペンスエンタテインメント、と言えば観たはずの映画なのに内容はよく覚えてない「ダヴィンチコード」。読みながら「ダヴィンチコード」の題名がずっと頭から離れなかったのは きっと、前回読んだ「ジヴェルニーの食卓」のイメージで読み始めたせいで、おやおや、どうもジャンル違うぞ、うーん、ミステリー?サスペンス?壮大なハリウッド映画?と感じたからです。…続きを読む

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7位
地下世界をめぐる冒険——闇に隠された人類史
書籍:地下世界をめぐる冒険——闇に隠された人類史
(ウィル・ハント、棚橋志行/亜紀書房)
レビュアー:ぽんきちさん 得票数:32
書評掲載日:2020-11-09 11:55:29
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/292709/review/252927/

Deep down to the darkness-深く深く潜れ。

「地下世界」をテーマにした異色のルポ。著者は、雑誌記者を経てノンフィクション作家となった。本書は初の著作である。
少年の頃、洞窟を探検したことがある著者は、ある時、まさにその洞窟を撮った写真に惹きつけられる。写真を撮影したのは都市探検家グループの一員だった。著者は彼らに誘われ、ニューヨークの下水管を巡った。それを皮切りに、地下への旅が始まる。…続きを読む

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10位

書籍:白鯨 下  新潮文庫 メ 2-2
(ハーマンメルヴィル、田中西二郎、HermanMelville/新潮社)
レビュアー:ゆうちゃんさん 得票数:30
書評掲載日:2020-11-01 18:25:08
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/50742/review/252084/

白鯨を捕えることに執念を燃やすエイハブ船長が指揮するピークォド号は、喜望峰を回り、インド洋、スンダ海峡を経て日本沖に至る。そして、最後の三章で白鯨との死闘が演じられる。

自分の脚を噛みちぎった大抹香鯨の白鯨(モービィ・ディック)を追う事に執念を燃やすエイハブ船長が指揮するピークォド号の航跡。語り手は乗組員のイシュメールである。下巻では、喜望峰から先、インド洋からスンダ海峡を抜け、西から台湾を目指し、日本沖に出てから南下して赤道付近に至るという航跡である。…続きを読む

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10位
オオカミと石のスープ
書籍:オオカミと石のスープ
(アナイスヴォージュラード、Vaugelade,Anaies、敦,平岡/徳間書店)
レビュアー:oldmanさん 得票数:30
書評掲載日:2020-11-15 02:26:36
書評URL:https://www.honzuki.jp/book/293337/review/253598/

いやぁ なんともかんとも人を喰ったはなしだよねぇ……えっ 喰ったのは石だって! ちげぇねぇ。

「はじめての海外文学」の絵本セクションで紹介されたので読んでみました。
フランスの絵本ははじめてで、まさに「はじめてのフランスの絵本」です。お話は袋を担いだ歳を取ったオオカミが、村へとやって来てめんどりさんの家のドアを叩くところから始まります。…続きを読む

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  1. 365bookdays編集部

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