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monthly bookreview ranking

今月の1位は、強くたくましい女性たちの物語『夏物語』(文藝春秋)

本好きが集い、書評を投稿する読書コミュニティ「本が好き!」の 2021年10月の月間人気書評ランキングを発表します。 (同じレビュアーさんが違う書評でランクインしていた場合はより上位の書評のみを掲載しています。つまり2021年10月で、投票数が上位だった10人の書評が掲載されています)

1位
夏物語
書籍:夏物語
(川上未映子/文藝春秋)
レビュアー:yukoさん 得票数:36
書評掲載日:2021-10-17 19:40:55
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/280192/review/268044/

娘よ、あなたに会えて本当に幸せです。あなたの母にしてくれて、ありがとう。あなたは生まれてきてよかったと思えますか?

大阪の下町生まれ。どうしようもないクズの父親の元から母と姉と夜逃げして、祖母と暮らしたとにかく貧乏な日々。

物書きになりたいと上京した夏子のもとに、姐の巻子とその娘、緑子と泊まりがけでやってきた3日間の第一部。

その8年後が第二部。

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2位
闇の奥
書籍:闇の奥
(ジョゼフコンラッド/光文社)
レビュアー:darklyさん 得票数:34
書評掲載日:2021-10-18 20:30:07
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/23781/review/268248/
 

原因も結論もはっきりしないこの物語は超自然的な領域まで踏み込んでいる可能性がある。

本書を翻案し戦争映画の名作として有名な「地獄の黙示録」のファイナルカット版を見つけ、観るにつけ、ほぼ小説のことを憶えていないことに気付き、丁度光文社文庫版は読んでいないことから読んでみました。

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2位
ぼくのがっかりした話
書籍:ぼくのがっかりした話
(セルジョ・トーファノ、橋本勝雄/英明企画編集)
レビュアー:かもめ通信さん 得票数:34
書評掲載日:2021-10-12 18:01:35
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/301629/review/267784/
 

抽選に当たった人も残念ながらハズレた人も、さあ皆さんご一緒にがっかりしようよ!

小学校の卒業試験に3回も落第したベンヴェヌート少年に手を焼いた両親は、
家庭教師をつけて勉強させようとするのだが、
来る人来る人すぐに根を上げて辞めてしまう。
これでダメなら学業を続けさせるのを諦めようと父親が探してきた13番目の家庭教師は
勉強をそっちのけでおとぎ話を語り出すちょっと変わった人だった。

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4位
帰らざる故郷
書籍:帰らざる故郷
(ジョン・ハート、東野さやか/早川書房)
レビュアー:スーヌさん 得票数:33
書評掲載日:2021-10-20 19:22:39
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/302504/review/268319/
 

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ベトナム帰りの兄は本当に殺人マシーンになってしまったのか? 兄を信じて、弟の冒険の夏が始まる

 主人公のギビーは高校生、時代は70年代でベトナム戦争は進行中。
 従軍していたギビーの兄ジェイソンが帰還してきます。
 ですがジェイソンは不名誉除隊で薬物中毒で刑務所あがりで犯罪組織とも関係があると噂されていて、迎える家族は戦々恐々としています。

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5位

書籍:高丘親王航海記
(渋澤龍彦/文藝春秋)
レビュアー:ぽんきちさん 得票数:32
書評掲載日:2021-10-18 09:49:10
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/8644/review/268220/
 

ゆらりゆらゆら天竺へ

澁澤龍彦の遺作。

高丘(高岳)親王は実在の人物で、平城帝の第三皇子。
平城帝が譲位した後の嵯峨帝の皇太子であったが、「薬子の変」により廃太子され、出家した人物である。
薬子は平城帝の愛妾である。元々は薬子の娘が平城帝(当時は東宮)に召されて宮中に上がることになったが、まだ幼い娘の後見のような形で母の薬子が同行する。ところが東宮は母の方に夢中になって寵愛してしまう。もちろん、薬子には夫がいるのに、である。

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6位

書籍:桜桃
(太宰治/)
レビュアー:紅い芥子粒さん 得票数:31
書評掲載日:2021-10-03 11:55:22
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/219326/review/267573/
 

母の『涙の谷』に打ちのめされて、父はふわりと立ち上がって家を出る。

両親と子供三人の五人家族。そのうちの父の語りで記されている。

”子供より親が大事、と思いたいと、父はいう。”

三人の子は、まだ幼い。
長女七歳、長男四歳、二女はまだ一歳。

父、母、幼子三人、狭い三畳間での食事。
戦後間もない昭和二十年代。どこにでもありそうな家庭の風景。
にぎやかで、大混乱の。

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7位
その犬の歩むところ
書籍:その犬の歩むところ
(ボストンテラン/文藝春秋)
レビュアー:ことなみさん 得票数:29
書評掲載日:2021-10-19 22:00:58
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/249780/review/268296/
 

無償の愛と優しさが犬の形をしてやってきて、ともに歩き始めた。 ボストン・テランの二冊目。

傷ついて息も絶え絶えの老犬がたどり着いたのは古い「セント・ピーターズ・モーテル」だった。そこには夫と愛犬を事故で亡くしたアンナがいた。
アンナは人生に深く痛めつけられ、かつての無邪気さなどとっくに失い、目的のない旅をしていた。辿り着いたモーテルの老婆から家と母親をもらった。老婆は石にただ「母」と彫ってほしいと言いこの世から去っていった。アンナは傷ついてやってくる犬を集め始めた。

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7位

書籍:夢のなかの夢
(タブッキ/岩波書店)
レビュアー:DBさん 得票数:29
書評掲載日:2021-10-21 23:27:03
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/209902/review/268364/
 

巨匠に夢を語らせる話

イタリアの現代作家タブッキが、二十人の過去の巨匠が見たかもしれない夢を描いた作品です。
最初に登場するのはダイダロス、ギリシャ神話の中の工匠です。
宮殿に捕らわれた獣頭の王子と出会い、彼を宮殿から自由にするため知恵を働かせる。

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7位
おひとりさまの老後
書籍:おひとりさまの老後
(上野千鶴子/文藝春秋)
レビュアー:三太郎さん 得票数:29
書評掲載日:2021-10-21 23:26:03
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/277699/review/268341/
 

団塊世代のフェミニスト、上野千鶴子が団塊世代の女性のために書いたベストセラー。

この本は2007年に出版され2011年に文庫化されてベストセラーになったとか。出版当時の著者はまだ東京大学の教授だった。現役の東大教授の書いたベストセラーだったわけだ。この後の上野氏は「おひとりさま」の老後についての発言でマスコミでもよく目にするようになった気がする。

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8位
我的日本:台湾作家が旅した日本
書籍:我的日本:台湾作家が旅した日本
(呉佩珍、白水紀子、山口守/白水社)
レビュアー:ぱせりさん 得票数:29
書評掲載日:2021-10-22 12:41:15
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/302450/review/268226/
 

18名の台湾作家による、日本旅エッセイ集。

編者あとがきによれば、「台湾作家にとって〈日本〉は重要な創作テーマの一つであった」というが、18名のうち、今のところ日本語で作品を読めるのは、甘耀明、王聡威、呉明益だけみたいだ。

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8位

書籍:火山のふもとで
(松家仁之/新潮社)
レビュアー:ぱせりさん 得票数:29
書評掲載日:2021-10-13 10:23:25
書評URL:http://www.honzuki.jp/book/199954/review/267855/

静かにゆっくりと閉じていく物語。閉じ方の毅然とした美しさ。

「高度成長期の波にも流されず、わかりやすい自己顕示欲とも無縁のまま、質実で、時代に左右されない美しさを持つ使い勝手のよい建物」
村井俊輔は、そういう建物を生み出してきた建築家だった。

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