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【作家を読む】地べたからの考察 ブレイディみかこ

ブレイディみかこさんの最新刊『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』が書店で大きく展開されていたり、 ネット上でも話題になっています。
英国在住のブレイディみかこさんの執筆テーマを表すキーワード。
それは「地べた」。

一躍、その名を有名にしたのは、2016年の英国のEU離脱をレポートした記事ではないでしょうか。

 

■ブレイディみかこさんプロフィール
保育士・ライター・コラムニスト。1965年福岡市生まれ。県立修猷館高校卒。1996年から英国ブライトン在住。ロンドンの日系企業で数年間勤務したのち英国で保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始。著者に『子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から』(みすず書房)、『ヨーロッパ・コーリング――地べたからのポリティカル・レポート』(岩波書店)、『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』(新潮社)等がある。

 

英国に移住した日本人(移民)としての目線、
英国人で労働者階級に属する配偶者をもつ一市民としての目線、
保育士として、また中学生の息子をもつ親としての目線。
生活者の目線=「地べた」から、英国の政治、経済、子どもを取り巻く環境を考察した著書を精力的に発表しています。
そこで、注目の作家ブレイディみかこさんのおすすめ書籍をご紹介します。

 

 

中学生の息子が通う学校での経験から覗きみる、多様性のリアル

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

書籍:ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
(ブレイディみかこ / 新潮社)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/279448/  

私もこのブライトンのようにいろいろな民族、セクシュアリティ、宗教など多様性のある地方都市に住んでいるので他人事ではないです。(中略)なかなか話が通じない人多いです。どこの国の人でも、高等教育受けていても、なんならPh.D持っている人でも。大人になって日本人でも外国人でも、常識が通じない人がたくさんいるなと感じました。でも「常識」っていうのはそもそも大多数の人の意見なので、だんだん変わっていくのかもしれません。(piyopiyobooksさん)

 

私たちの知らない「日本」がここにある

THIS IS JAPAN 英国保育士が見た日本

書籍:THIS IS JAPAN 英国保育士が見た日本
(ブレイディみかこ / 太田出版)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/239390/  

エピローグで階級社会ではない日本のこれからの可能性を描いた部分では電車の中で涙ぐみそうになりました。福祉の現場にいない方にとっては、下手な学者の日本論よりもこの本を1冊読むことの方がはるかに知ることが多いと思います。(祐太郎さん)
貧困の問題、劣悪な労働環境の問題……それはそのままこの社会を生きる私たちの問題でもあるだろう。しかし人は自分が抱いている「ミクロ」な、生活が苦しいとか既に見て来たように教育において困難な状況にぶつかっているといった問題を「マクロ」なものとしてぶつけることに今ひとつ当事者意識を欠いているようにも思えるし、また当事者としての意識を抱いたとしてもそれを「マクロ」に持ち上げるにあたってなかなか一枚岩の団結という形を取りにくい。本書を読んだ貴方は自分が果たして貧困層に居るのかどうなのかよくよく考えてみて欲しい。そして声を上げることを躊躇わないで欲しい。(踊る猫さん)

 

激動の時代を生きた三人の女性。強烈な生き様から見えてくるもの

女たちのテロル

書籍:女たちのテロル
(ブレイディみかこ / 岩波書店)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/279363/  

テロルという名称は物騒で、確かに過激な行動もここには書かれている。しかし、“以前よりはましになった”が“♯MeToo”や“職場でのハイヒール”など、未だに女性だけが不自由を感じたり理不尽を味わわされている機会は枚挙にいとまがない。(星落秋風五丈原さん)
「けれど、けれど、世にはまだ愛すべきものが無数にある。美しいものが無数にある。私の住む世界も祖母や叔母の家ばかりとは限らない。世界は広い。(p.6)」(金子文子の獄中手記『何が私をこうさせたか』より引用) この文章を読んだ時、私は自分の迷いや苦しみが吹っ切れたような気がした。(踊る猫さん)

 

世の中にフェアなものなんて何ひとつないのだろうか?新潮ドキュメント賞受賞

子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から

書籍:『子どもたちの階級闘争――ブロークン・ブリテンの無料託児所から』
(ブレイディみかこ / みすず書房)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/250663/  

「どんなプアでも、過去より未来の方がよくなるんだと信じられる人々の方が幸福度は高い。でも、それがこんな年齢層の子どもたちにまで当てはまるとは……」 「格差というのはあってしかるべきもの。金持ちと貧乏人はどの世界にもいる。間違っているのは、下層階級の人間がそこから飛び出す可能性を与えられていない社会だ」 著者の仲間たちの言葉を読みながら、息苦しくなってくる、閉塞感で。海を隔てた英国と、「地べた」がつながっているようで。 英国の地べたから、日本の地べたが眺められるような気がするのだ。(ぱせりさん)
"ブロークン・イングランド”という言葉が生まれるほど壊れた英国社会に日本の近い将来を重ねてしまう。いや、もっと日本は陰惨なシーンになるかもしれない。(wmさん)

 

本質を突く、ブレイディ節。英国EU離脱が引き越した現実とは

労働者階級の反乱 地べたから見た英国EU離脱

書籍:労働者階級の反乱 地べたから見た英国EU離脱
(ブレイディみかこ / 光文社)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/255943/  

EU離脱の国民投票はパンドラの箱だった。ブレグジット(Brexit=イギリスのEU脱退)を牽引した英国人労働者階級の本音とは。建前と本音。このことを強く感じさせる一冊でした。 一石を投じる必要はある。はじめの一歩を踏み出さなければ何も変わりはしない。しかしながら、投じた一石が眠れる獅子を目覚めさせることになったらどう思うか?(allblue300さん)
Brexit(EUからのイギリス脱退)はなぜ起きたかを生活者の視点から考察。イギリスの庶民=労働者階級がこんな悲惨な状況に追い込まれていることを本書を読むまで知らなかった。(のぶやんさん)

日本びいきでもなく、英国びいきでもなく、中立的な立場から述べられる、淡々とした文章で「クール・現実的」とも評されるブレイディみかこさん。 しかし、その底には教育、福祉への熱い想いが貫かれています。置かれた境遇に、これからの人生にどう向き合っていくべきなのか。自分事として捉え、考え、行動することの大切さを教えてくれます。

 

 

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  1. 365bookdays編集部

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