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【作家を読む】イラストルポライター 内澤旬子

内澤旬子さんのお仕事に触れたのは、『印刷に恋して』(松田哲夫/晶文社 2002年)の細い線で緻密に描かれたイラストレーション。印刷機や印刷工程を描いたイラストに添えられた手書きのコメントに引き込まれ、印刷の世界に魅せられました。
以後、イラストに留まらず、ノンフィクションライターとして、着実に、独自の境地を切り拓いておられる内澤さん。 5月に刊行された『ストーカーとの七〇〇日戦争』のテーマがストーカー被害にあった自身の体験を赤裸々につづったもの、と話題になりましたが、その本が2019年ノンフィクション本大賞にノミネートされました。そこで内澤旬子さんのこれまでの著作のなかから、おすすめ書籍をご紹介します。

内澤旬子さんプロフィール
1967年神奈川県生まれ。イラストルポライター、装丁家、製本家。国内外を旅して屠畜の現場を取材した『世界屠畜紀行』、闘病体験を綴った『身体のいいなり』(講談社エッセイ賞受賞)、3匹の豚を飼い、食べるまでを描いた『飼い喰い』など、体を張った取材と、簡潔かつストレートな文章と画力を活かしたノンフィクションを発表している。闘病、離婚を経験後、2014年より香川県の小豆島に移住。2匹のヤギと暮らす。
ブログ  内澤旬子 空礫絵日記

 

 

2019年ノンフィクション本大賞ノミネート作

ストーカーとの七〇〇日戦争

書籍:ストーカーとの七〇〇日戦争
(内澤旬子/文藝春秋)
レビューを書く:https://www.honzuki.jp/book/282012/ 

内容
ネットで知り合った男性との交際から8カ月。
ありふれた別れ話から、恋人は突然ストーカーに豹変したーー。
執拗なメール、ネットでの誹謗中傷……「週刊文春」連載時に大反響を呼んだ、戦慄のリアルドキュメント。

 

食文化の盲点に切り込んだルポ

世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR

書籍:世界屠畜紀行 THE WORLD’S SLAUGHTERHOUSE TOUR
(内澤旬子/角川書店)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/179046/ 

「屠畜」の現場は未知の世界だ。かつ食文化の盲点だ。~中略~本書では世界各国の屠畜事情も書いてあるので内容はボリューム満点。比較してみると、庭で家畜を殺したり、店先で肉の解体をしている国のほうが、肉も内臓も無駄にしないし、ほとんどの部位を食べる。人目に屠畜の現場をさらすなんて野蛮だ、なんて言ってる国のほうが命の重みをわかってない。 この本、簡易版をつくって、小学校の教科書に採用したほうがいい。(クロニスタさん)
一般的に屠畜という作業は世間の目から覆いかくされている。日本には昔から屠畜に関わる人たちに対して、穢らわしいとか忌まわしいとかいう差別的な感情を持つ風土があり、そこに著者である内澤さんは疑問を抱いた。(ベックさん)

 

38歳、フリーランス、乳がん発覚。女性のカラダとココロに迫った闘病エッセイ

身体のいいなり

書籍:身体のいいなり
(内澤旬子/朝日新聞出版)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/209585/  

乳がん、全摘出、ホルモン療法、乳房再建手術と、自身の体験を綴ったエッセイです。男性だから乳がんにならないというわけではありませんが、やはり女性特有のもの。女性目線で見た乳がん。読ませるものがあります。(allblue300さん)

 

世界の屠畜現場を取材した著者が考えた、命をいただくということ

飼い喰い――三匹の豚とわたし

書籍:飼い喰い――三匹の豚とわたし
(内澤旬子/岩波書店)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/190723/  

これは本当に面白い!~中略~内澤さんは、受胎現場から確認した子豚を三匹もらいうけ廃屋を改造してそこに住みながら豚の世話をするとう無謀な挑戦をします。しかし一見残酷で無謀な挑戦もこの人のユーモラスな文体とイラストがずいぶんやわらげてくれます。(スッポン太郎さん)

 

執着心を捨てた内澤さんの豪快断捨離エッセイ

捨てる女

書籍:捨てる女
(内澤旬子/本の雑誌社)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/213115/  

多分、生きている限り私たちは、さして意味のない執着や興味に振り回される生き物だと思うのだ。 生きるってそういうことだと思う。 息をして、命が続くっていうことじゃなくて、生きるということ。 何もかもを捨ててしまえたなら、生きることへの執着もなくなってしまうのではないか、そんな気がして怖くなったんだろう。(hopeful0720さん)

内澤さんの文章には、ムダがない。 ムダはないが、書き手の目に映った出来事がもたらした感情が読み手にじわじわと伝わってくる。

そして、このテーマについて書かずにはおられない、そんな使命感が漂っている。
読み手を新しい境地へと連れて行ってくれる 内澤旬子さんの世界へ、ぜひ足を踏み入れてみてください。

 

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  1. 365bookdays編集部

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