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【作家を読む】日常に潜む暗がり ホラー作家・小野不由美

ホラーというと、なにを想像しますか?
怪奇現象、怨霊、サイコパス、、、古今東西、人々を魅了してきた「怖さ」を主題にした小説や映画。
今回、夏の終わりの小説案内、と称してご紹介するのは、ホラー作家・小野不由美さん。

 

小野不由美さんプロフィール
12月24日、大分県中津市生まれ。京都大学推理小説研究会に所属し、小説の作法を学ぶ。1988年作家デビュー。「悪霊」シリーズで人気を得る。91年『魔性の子』に続き、92年『月の影 影の海』を発表、「十二国記」シリーズとなる。十二国記と並行して執筆した『東亰異聞』『屍鬼』『黒祠の島』は、それぞれ伝奇、ホラー、ミステリとして高い評価を受けている。「悪霊」シリーズを大幅リライトし「ゴーストハント」として2010年〜11年刊行。12年、二作が相関関係にある『鬼談百景』と『残穢』を刊行し話題に。『残穢』は第26回山本周五郎賞を受賞。2019年秋には「十二国記」シリーズの新刊が発売予定。(KADOKAWA『営繕かるかや怪異譚その弐』特設サイトより)

 


いないのに、いる。
いるのに、いない。

小野作品の怖さというのは、「ギャッ」と驚くような類ではない。
不可思議な現象に遭遇した主人公たちの奮闘を通じて、
読者はその異世界が、日本家屋の光が届かない隅や、行き止まりの路地など、かつての日本にあたりまえのように存在していた無数の暗がりのように、日常のすぐそばにあることを想起する。
だから小野作品を読んだ後では、暗闇にたしかに「いる」ものに触れることで、神経が研ぎ澄まされるのか、想像力が勝るのか、いないものがいるように感じられたりする。
夜中に思い出すと、眠れなくなるような、「じわじわ」と染み出てくるような怖さがあります。

まもなく人気シリーズの新刊も刊行される小野不由美ワールドを楽しむ、
おすすめの5タイトルをご紹介します。

 

著者自身が当事者として語る。日常の延長線上にある怪異。第26回山本周五郎賞受賞作

残穢(ざんえ)

書籍:残穢
(小野不由美 / 新潮社)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/231592/ 

ホラー小説好きでもうかれこれ数十年読んできましたが、間違いなくベスト3に入る怖さ。~(中略)~直接この話が関係なくても、自分の身にももしかしたら起こるかもしれないと思わせるものがこの本にはあります。「残穢」はどこにでもあるのだと。(darklyさん)
土地についた死の穢れが連鎖する、伝わっていく。住んだ人たちに起きた怪異。新しい形のホラー小説を読んだ。(ことなみさん)

 

百景だけど、つづられているのは99話。『残穢』とリンクする百物語怪談本

鬼談百景

書籍:『鬼談百景』
(小野不由美 / KADOKAWA)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/228873/  

体験者の話が集まって「百景」を作っている。 他愛もない、雑談になったが、100の形の違った怪奇現象は、繰り返すが、夜に読むと妄想も膨らんできてちょっとおそろしかった。(ことなみさん)
一番恐怖に感じたのは「廃院」です。観光で白樺湖を訪れた若者が、出るという噂のある廃病院に行き恐怖の体験をするのです。「なんで夜中に、そんな場所へ行くかな」と思いながら文章を追うのですがヤッパリ怖い!(morimoriさん)

 

死者の声を聴き、修繕する。営繕かるかや怪異譚シリーズ

営繕かるかや怪異譚

書籍:営繕かるかや怪異譚
(小野不由美 / KADOKAWA)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/222775/  

あちこちに潜む「なにか」。 怖いから塞いでしまおう、マズそうだからお祓いしてもらおう…と、凡人なら考えてしまうのだが、なんと小野さん、営繕屋・尾端を登場させ家を修繕し、怪奇現象を解決する。どの話も怖いものと戦うというよりも、最終的には住んでいる人も霊たちも自然な形で日常に戻してもらえるといった話で、途中までガチガチになっていた身体が徐々にほどけてゆく感じで読後感は悪くない(Kuraraさん)
城下町に住む人達の家で説明のつかない出来事が起こり、そこに営繕を営む青年が現れて物事をおさめてゆく一話完結型である。面白いのは、おさめてゆくやり方として、怪奇の元と思われる物を元から取り壊す方法は行っていないことだ。一話だけ例外があるが、それすら恐らく以前の出来事と繋がりのある何かを持ちこむ形となっており、過去を全く断ち切った形にはなっていない。合理的と称される西洋と比べて、いかにも日本的なおさめ方と言えるだろう。(星落秋風五丈原さん)

 

ホラー作家、小野不由美の出世作。全7作リライト&新装版で蘇る「ゴーストハント(悪霊)シリーズ」

ゴーストハント1 (旧校舎怪談)

書籍:ゴーストハント1 (旧校舎怪談)
(小野不由美 /メディアファクトリー)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/49189/  

1989年から続いた人気シリーズに大幅なリライトを施して復刊したものです。高校生の麻衣と、ナルシストの渋谷一也の掛け合いが面白いです。ホラーなんだけど(笑)(ホンスミさん)
7巻絶対揃えたくなっちゃう美麗装丁……。漫画版の方で大まかなストーリーは理解しているつもりでしたが、やっぱり文章で読むホラーのドキドキ感はたまりません!(ののこさん)

 

シリーズ累計1000万部突破の異世界ファンタジー・「十二国記」シリーズ

月の影 影の海(上) 十二国記

書籍:月の影 影の海(上) 十二国記
(小野不由美 /新潮社)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/195901/  

理不尽な状況下であがく主人公を描いた異世界ファンタジー。小野不由美の代表作。(SETさん)
なんという絶望的な物語か。しかし、本書が語るのは「それでも生きてゆく」ということなのだ。女の子は賢くなくても強くなくても素直ならば良いと育てられ、人との軋轢を避けて生きてきた少女は、信じるに足る人物を見極める眼力を養い、人を思いやる心を知る。知恵と体力を極限まで使って初めて見えてくる景色を共に見つめながら、読者はやがて大きなカタルシスを味わう。(Wings to flyさん)

 

〈近刊情報〉ファン待望の「十二国記」シリーズ新作が10月12日に刊行!

白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫)

書籍:白銀の墟 玄の月 第一巻 十二国記 (新潮文庫)
(小野不由美 /新潮社)

白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記 (新潮文庫)

書籍:白銀の墟 玄の月 第二巻 十二国記 (新潮文庫)
(小野不由美 /新潮社)

 

面陳注意⁉ 装丁もジワジワくる


小野不由美さんの作品の、もうひとつの楽しみが「装丁」です。
表紙カバーをめくると、ゾクリと背筋が寒くなる『残穢』『鬼談百景』は司修さんによるもの(単行本です)
イラストに謎が仕込まれた「営繕かるかや怪異譚シリーズ」、「ゴーストハント(悪霊)シリーズ」(ブックデザインはともに祖父江慎)。
小野さんの本は部屋に置いておけない、というほど、 見れば見るほど、怪しく、存在感たっぷりな装丁もぜひ併せて 味わってみてください。

 

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