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【作家を読む】考えるきっかけをくれるもの 哲学者 國分功一郎 おすすめ5選

報道やSNSにおいて、物事をいい・わるい、要・不要といった単純な二元論で論じる事象を目の当たりにすることが多くなりました。自分にとっての正しさとは何か、もやもやとした気持ちを理解し、晴らす手立てはあるのだろうか。その一つの解が哲学にあるように考えます。
國分功一郎さんは、人生相談に応えたり、道路建設を反対する住民運動に関わったり、と哲学を現実問題と紐づけ、なぜそう考えるのか、問題の本質は何かについて切り込んでいく気鋭の哲学者です。

近著『原子力時代における哲学』(晶文社)では、原子力の危険性を早期に指摘していた唯一の哲学者、ハイデッガーを取り上げ、原発が稼働しつづける理由に哲学的なアプローチから迫っています。

哲学というと小難しい印象がありますが、
問題を哲学的な視点で捉え、考えるきっかけをくれるものとして提示してくれる。
國分さんの著作をご紹介します。

國分功一郎さんプロフィール
1974 年千葉県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授。専攻は哲学・現代思想。主な著書に『中動態の世界──意志と責任の考古学』(医学書院)、『暇と退屈の倫理学』(太田出版)、『来るべき民主主義』(冬舎新書)、『ドゥルーズの哲学原理』(岩波書店)、『スピノザの方法』(みすず書房)、『原子力時代における哲学 (犀の教室)』 などがある。

 

出世作で第二回紀伊國屋じんぶん大賞を受賞した、哲学エッセイ

書籍:暇と退屈の倫理学 増補新版
(國分功一郎 / 太田出版)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/226364/  

「暇」と「退屈」は、しばしば混同して使われる。暇な人間が必ず退屈するわけではないし、逆に、退屈しているとき、その人が必ず暇というわけでもない。(24wackyさん)
「わたしたちはパンだけでなく、バラも求めよう。 生きることはバラで飾られねばならない」印象的な帯文と『暇倫』の愛称で有名となり、哲学書として大ヒットを記録した気鋭の哲学者、國分功一郎先生の『哲学エッセイ』である『暇と退屈の倫理学』。本書はその増補新版であり、旧版では主題に関わる基本的な問いを手つかずのままに残している。 「なぜ人は退屈するのか?」についての論考であり現時点での「回答」である13,000字の論考。『傷と運命』を収録しております。(有坂汀さん)

 

「哲学は人生論でなければならない」とする國分先生が人生相談に出した処方箋

書籍:哲学の先生と人生の話をしよう
(國分功一郎 / 朝日新聞出版)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/218247/  

哲学者が挑む「人生相談」。とは言え内容は闇雲に「テツガク」しているわけではなく、極めて平たくて読みやすい。様々な知見を借りて読者と共に悩み、そこから答えを炙り出して行く。本当の「優しさ」に満ちた一冊。(踊る猫さん)

 

能動と受動という二つの対立以前に在った「中動態」という態の存在とは。第16回小林秀雄賞受賞作品。

書籍:中動態の世界 意志と責任の考古学
(國分功一郎 / 医学書院)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/249450/  

冒頭の〈プロローグ〉は、薬物依存症当事者と「僕」との架空の会話で成立している。薬物依存症は病気だということを理解する「僕」は、一方で、自分の意志でクスリをやめられないのかと思ってしまうと言い、当事者は、むしろそう思うとダメだと返す。絶えずズレている二人の会話の終わり近く、当事者は「しゃべってる言葉が違う」と、救いのないオチのようにこぼす。著者に本書を書かせたのはこの「対話」の衝撃であろうし、本書が医学書院〈シリーズ ケアをひらく〉の一冊として発行されたことも確信犯的である。(24wackyさん)
疑問を持つこと、考えを巡らすことの楽しさ。敷居の高そうなタイトルだけど、内容は身近な「意志」について問い直す1冊。(じょりんこさん)

 

実際の住民運動に身を投じた体験から問う、民主主義の在り方

書籍:来るべき民主主義 小平市都道328号線と近代政治哲学の諸問題
(國分功一郎 / 幻冬舎)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/210871/  

哲学は机上でうんうんと考え続けるイメージがあって、『暇と退屈の倫理学』でも既存の哲学のフレームワークを用いる。スピノザ、ハイデガー、パスカルたちの言葉を援用しながら、自身の考えを強化していく、という方法である。けれども僕は、この『暇と退屈の倫理学』を読みながら、このひとは机上からフィールドへと出ていくのだろうなと、漠然と思った。社会にコミットしようという意思が感じられたからだ。~中略~國分さんが疑問に思ったのは、民主主義といわれる社会であるにもかかわらず、じつは我々には何の決定権も権利も委ねられていないという事実だ。(ホンスミさん)

 

最新刊を読む前におすすめ!東日本大震災の翌年に行われた哲学者と宗教学者の対談

書籍:哲学の自然
(國分功一郎 / 太田出版)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/220419/  

首都圏では2011.3.11は既に過去のできごとになりつつあるが、仙台の本屋さんではまだこの本が売られている。宗教学者と哲学者が語り合った3.11以後の僕らの哲学とは。(三太郎さん)

 

《最新刊情報》2019年9月に刊行された刺激的な一冊!

書籍:原子力時代における哲学 (犀の教室)
(國分功一郎 / 晶文社)
レビューを書く:https://www.honzuki.jp/book/283079/ 

内容:3.11で原子力の平和利用神話は崩れた。人間の叡智は原子力に抗し得なかった。哲学もまた然り。しかし、哲学者でただ一人、原子力の本質的な危険性を早くから指摘していた人物がいる。それがマルティン・ハイデッガー。並み居る知識人たちが原子力の平和利用に傾いていくなかで、なぜハイデッガーだけが原子力の危険性を指摘できたのか。その洞察の秘密はどこにあったのか。ハイデッガーの知られざるテキスト「放下」を軸に、ハンナ・アレントからギリシア哲学まで、壮大なスケールで展開される、技術と自然をめぐる哲学講義録。3.11に対する哲学からの根源的な返答がここに。

 

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