本とその周辺にある事柄・人をつなぐ

MENU

365bookfair

【作家を読む】作品に才気と色気がにじみだす 太宰治

太宰治を描いた映画、『人間失格 太宰治と3人の女たち』が間もなく公開となります。
監督は写真家の蜷川実花。主演は小栗旬。
これまで何度となく、映像化されてきた『人間失格』。
自殺未遂と女性遍歴など破天荒な生き様がクローズアップされる一方、 生誕110年経った今もその作品は読者を魅了しつづけています。
そこでこれから太宰治作品に手を伸ばしたい人へ おすすめの5冊をご紹介します。

 

「恥の多い生涯を送って来ました。」読み継がれる太宰の代表作

人間失格

書籍:人間失格
(太宰治 / 新潮社)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/9927/ 

人は誰でもたくさんの恥を抱えて生きているのだと、十代の私に、自分を肯定することを教えてくれた思い出深い本。(かもめ通信さん)
人間は他人に認められたい欲求があるのです。 狂人とみなされるまで追い求めた太宰の姿に、人間の本質を感じるのです。あけすけな一冊でした。(たけぞうさん)

 

没落しゆく華族のお母様の佇まい!愛人の日記をもとに産み出された太宰流『桜の園』

斜陽

書籍:斜陽
(太宰治 / 新潮社)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/19589/  

やはりお母様のすっとした貴族たる態度がたまりませんね。これを読んだあと、誰しもがお母様と同じようにスープを垂直に上げて水平に口に入れるというあの作法を真似たはず。そして、何があろうが子供たちの見方をしていく母の愛。(祐太郎さん)
母親の支配から逃れ、自分の意志で生きることを知った貴族の娘。死にゆく弟と生きる姉に太宰が託した何か。~中略~元は意志もないような貴族の娘に過ぎなかったかず子が、稚拙かもしれないし只の本能に突き動かされただけかもしれないものであっても、自分の意志で決断して、やりたいように生きた。 母親の支配から脱却し、古い生き方に反発した。(ちょわさん)

 

女語りの新鮮さ。目に映るものすべてを面白がる、女子高生の感受性が眩しい

女生徒

書籍:女生徒
(太宰治 / 新潮社)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/70495/  

女学生の日記を盗み見ているような、いや、彼女自身を覗いているような後ろめたさ、罪悪感が読んでいる私を高揚させます。まさに少女と大人の間を揺れ動く、モラトリアムのような彼女の姿に惹きつけられます。(祐太郎さん)
「いつまでも、お人形みたいは体でいたい」この言葉がとても印象深かった。体のことを言っているようで、本当は心のことを言っているのかもしれない。 僕はお人形みたいな体を元々神様がくれなかったのでそんな気持ちを抱いたこともないし、体が変貌していく辛さもない。(貧しい人をパンに変えるさん)

 

太宰が欲し、手に入らなかったもの。芥川賞にまつわる一篇

川端康成へ

書籍:川端康成へ
(太宰治 / 新潮社)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/227329/  

川端は気づいていたのではないかと思うのです。太宰治という男の作家性、芸術性とは何か、ということを。 つまり太宰の文学、芸術というものが最大限に生かされる状況とはどういう状況か、ということを考えると、それは「太宰さん、すごいっス」とみんながおだて、認める状況ではない。むしろ彼は叩かれれば叩かれるほどその真価を発揮するのです。(素通堂さん)

 

青森出身の太宰への郷土愛、人間愛に触れる名作

津軽

書籍:津軽
(太宰治 / 新潮社)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/25634/  

故郷に戻ることで自己再生を図った太宰。ここには、彼の郷土愛が溢れている。(ぷるーとさん)
「人間失格」「斜陽」など破滅的で刹那的な作風で知られる太宰であるが、この「津軽」を読むことで彼のユーモラスな人柄や、純粋なまでの人間愛に触れることが出来る。それは太宰ファンにとって大きな救いである。(ヤドリギさん)

 

待つ方がつらいか、それとも待たせる方がつらいか

走れメロス

書籍:走れメロス
(太宰治 / 新潮社)
レビューを読む:https://www.honzuki.jp/book/41536/  

メロスが勇者であったのは確かである。だが私は王様と太宰がだぶってしょうがなかった。人間を信用できない王様は裏を返せば太宰の姿ではなかったのか。何とかして人を信用したい、人間とはすばらしいものだと自分を鼓舞するつもりで、「走れメロス」を書いたに違いない。(名著を読むさん)
表題作のほか、「満願」「富嶽百景」「女生徒」「駆込み訴え」など、中期の佳作が入った短編集。清冽さがすばらしい。~中略~「ダス・ゲマイネ」だけが昭和10年、初期の作品で、他は30歳の時、井伏鱒二氏が親代わりとなって石原美知子と結婚し安定していた時期の作品群である。「帰去来」「故郷」は絶縁状態だった青森の実家へ恐る恐る帰った経緯が描かれている。この後長編「津軽」が書かれたそうだ。(Jun Shino さん)

多彩な作風をもつ太宰。一見つかみどころのないようで、 ひとたびその作品世界に足を踏み込むと、作品に底流する太宰の価値観や生き様に触れることができ、心を掴まれます。
全力でその短い生涯を疾走した作家が読み手の心に残すものは、時を経ても色あせることはありません。

 

読んだ方は感想を、本が好き!へ投稿してみてくださいね。 会員登録はこちらから。  

タグ

バックナンバー

著者略歴

  1. 365bookdays編集部

    365bookdays編集部です。

閉じる